『ターミネーター :新起動/ジェニシス』に思うこと
【冒頭注意※ネタばれあります】
う~ん、シュワルツェネッガー、今回は完全に脇役です。
まァ歳もとってアンドロイドである(つまり老いない、ハズの)T-800ターミネーターをどうすんのか、てぇのが今回の製作者たちのいちばんの悩みどころだったんだと思うんですが、そこはなんとか取り繕うことに成功。
でも、それと引き換えにT-800はメインではないストーリーを展開させるという苦し紛れのコペルニクス的展開を選択…という風に見えてしまったんですけど。
“ジャッジメント・デイ”を核とするターミネーターの時間軸に「老いたT-800」を置くため、ムリクリにシュワちゃんの出番を作った、みたいな話になってしまった…そう思えて仕方がない。
だって明らかにそれまでのサーガからはみ出た余剰因子としての存在なんだもの。
まあ確かに過去4作の興行成績をみても、シュワが出てなかった『4』はあまり振るわなくてその後の続編が白紙になっちゃってたりするので、T-800=シュワルツェネッガーは集客を伸ばすためにはどうしても必要なんだろうな。
もちろんボクだってシュワちゃんのターミネーターが見たい。嘘偽りなく。
でもなあ…
果たして今回、いったい誰を主軸に見せたかったの? と思いながらスクリーンを見てました。
アクション映画としてはおもしろい。それなりに。かもしれない。
でも、登場人物の誰一人、感情移入して物語に没入することができなかったんです。
まあ、それはサラ・コナーが俺の知ってるリンダ・ハミルトンじゃないとかジョン・コナーが地味だとかカイル・リースがイケメンでないとかそういうマイナス要因がなかったわけじゃないんだけど。リニューアルT-1000イ・ビョンホン(イケメン)も脱がなかったいい見せ場もあまりなくあっさり退場しちゃうし。
たぶんフツーのSFアクション大作としてはぜんぜん及第点なんだろうけど、
(あ、けどちょっと設定が矛盾してたりユルいとこはあります…『金属は時間転送できない』って言ってるけど、そもそもT-800の骨格ってチタン合金製じゃん!? とか。まァ大目に見ろや)
元来このシリーズ大好きなんで、「キライになっちゃう」ことはなくとも「もっと好きになれる」要素が今回見出すことができなかった、ということで結論としておきます。
ところで。ちょっと別の見方を。
今回シュワちゃんことT-800ガーディアンは劇中で「ブリキ男」(TinToy)って呼ばれたりするんだけど、
この呼称ってつまりは『オズの魔法使い』のブリキ男のこと。
となると、今回の『ターミネーター』は『オズ』の暗喩を含んでいるのかしら? とふと思い立っていろいろとアラ探しをしてみたんですが、もし本当に『オズ』をなぞっているのならサラ・コナーは『ドロシー』ってことになるわけで。
でも、『ライオン』や『かかし』に該当するキャラクターはいるか? てぇと、思い当たるのが見当たらない。
まあ、カイル・リースとかジョン・コナーをムリヤリ当てはめて考えることもできなくもないと思うんですけど。でもそうなるとただのこじつけに過ぎなくなるし。
けど、スカイネット=『オズ』という符号は当たってるんじゃないかなあ…
てなコトをいろいろ想像してたんですが。
今回新作公開にあたり自分の記憶にある『ターミネーター』シリーズを反芻してみたんですが、『1』『2』は言わずもがなで脳内再生でき、『3』については「ああ、女ターミネーターのアレね」で思い出したんだけどどうにも『4』が出てこなくてネットでググったところようやく「あ、クリスチャン・ベールがジョン・コナーを演じたやつね」と思い出す始末。なんだかそんくらい印象が薄い『4』でありました…
この『5』=『新起動』も、果たして数年後にもちゃんと私の記憶メモリに残っているのだろうか…
(データ壊れてたりしてな)
[ユナイテッド・シネマとしまえんにて観賞]